“境界” について考える。
屋内と屋外をわける壁。箱庭の内と外の間にある枠。そして、わたしとあなたの間にある境界。それは、断絶のためのものではなく、適切に関わるための境界である。境界を保ったまま、内と外を行き来すること。境界を保ったまま、他者と関わること。そのためのちょうどいい境界の形について、考えている。
この展示では、展示室内に境界を建て、内と外を隔てた。内側として作られた部屋の中には、さらに箱庭という枠がある。箱庭はいつでも作ることができる。境界には作品とともにたくさんの玩具が並べられているが、内からしか手に取れないものもあれば、外からしか手に取れないものもある。
展示の中では「庭と窓」というプレイングアートを行なった。
「庭と窓」は、2人1組で内と外の場に分かれて箱庭を作る試みだ。内側にいる人は棚の中にあるものを使って箱庭を作っていく。ただし、内側からは届かない場所もいくつかある。外側にいる人は、中の様子を伺いながら、提案という形で窓に玩具を置いていく。内側にいる人は、それを使ってもいいし、使わなくても良い。外から来たものを取り入れたり、取り入れなかったりしながら箱庭を作っていく。言葉によるやりとりではなく物を介したやりとによって、境界を大切にしながらも、誰かと関わろうとすることを考えるための試みである。
ほ・る【掘る・彫る】
[一]〔他五〕 平面をこそげてくぼみをつくる意。
❶《掘》穴をあける。
①地に穴をつくる。 ②土を取り除き、中に埋うまっているものを取り出す。
❷《彫》きざむ。
①彫刻する。える。
②身体を針で刺し、墨を入れる。入れ墨をする。 (広辞苑より)
“彫る”と、 “掘る” 発音は同じであり、行為としても似ているが、目的が違う。 “彫る”ことは形を求めておこなう行為だ。彫刻という言葉に見るように、「刻む」に近いものがある。英語だと、carveになる。
“掘る”ことは主に、穴を掘るというような、地面を掘っていくようなイメージが強い。また、何かを見つけるために掘る、ということもある。発掘のための行為。その場合、掘り出す、掘り起こす、というような言い方になる。英語だと、掘るはdig、掘り起こす、という意味合いだとdig upという句動詞になる。
石で彫刻を作ることは、 “彫る”ことであるだろう。 しかし、これまでわたしは形を求めて石を彫ってきたんだろうか。 わたしは何かを発見するために、発掘するために掘っていなかったか。 わたしがしてきたのは “掘る”ことじゃなかっただろうか。 石を掘ったその先に、何かを拾い上げたその先に、わたしは一体何を組み上げるのか。 わたしはただ、それを見てみたかった。